創業に関する基礎知識

起業したいと思ったときの4つのアクション

ビジネス・ライフスタイルに関する価値観の多様化にともない、起業やプチ起業(会社勤めや主婦業と並行しつつ、副業として起業すること)に興味を持つ人が増えています。しかし、起業に興味はあるものの何から手をつけるべきかわからず実行に移せないという声も少なくありません。

今回は、起業を志す人におすすめしたい4つの行動について解説します。これから起業したい人はもちろん、起業してみたものの思うように成果を挙げられず悩んでいる人もぜひご一読ください。

起業したいと思っている人の割合

まずは、2016年12月時点における起業家の現状を見てみましょう。この調査では起業後10年以内の人を起業家、起業後少なくとも10年経過している人を企業経営者としています。

引用元:中小企業白書 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuu.html

このグラフでは全年代で男性のほうが起業経験が多く、起業への関心も高くなっています。男女とも年齢が上がるほど起業家・企業経営者が多くなっており、一定数の人が起業に成功していることが明らかです。

一方、年齢が高い起業希望者・起業準備者のなかには「若い頃から起業に関心があるが実現していない人」が一定数いると考えられます。また、全回答者の4.8%は「起業に関心を持ったことがあるが、現在は起業への興味を失っている」と回答しました。(このグラフでは省略されています)

これらのことから、何らかの理由や課題によってすみやかに起業できない人(または起業したが失敗した人)も少なくないことがわかります。

起業に関心を持ったきっかけ

50代以下においてもっとも多い起業のきっかけは、「周囲の起業家・経営者の影響」です。終身雇用制の崩壊やライフスタイルの多様化によって働き方に関する固定観念が薄れ、「身近な起業家の成功例に倣いたい」「自らの可能性を試したい」と起業を志す人が増えました。

60代以上では「時間的な余裕ができた」が1位となっており、定年退職後のセカンドキャリアのひとつとして起業が注目されています。

女性では、全年代で「家庭環境の変化」が2位となりました。女性の一生はライフスタイルの変化に左右されやすく、時間・場所に縛られず無理なく働くために起業する人が少なくありません。また育児・介護終了後の時間を有効活用しようとする人や、育児・介護経験を通じてビジネスチャンスを見つける人も増えています。

上記のほかには、「勤務先でやりたいことができなかった」「勤務先の待遇悪化・先行き不安」「働き口(収入)を得る必要があった」などの理由が挙がりました。

 

1なぜ起業したいのか目的を明確にする

企業形態にまつわる設問では、起業希望者・起業準備者の7割が個人事業主、2割が株式会社と回答しました。男女別に見ると男性の2割および女性の1割が株式会社を検討し、男性の7割および女性の8割が個人事業主を検討しています。

起業に当たって検討する企業形態・規模はさまざまですが、そこには必ず何らかの目的があるはずです。この項では、おもな起業目的と起業に向けた心構え・準備について解説します。

自分の知識や経験を活かしたい

仕事で得たスキルを活かして起業したい場合、のれん分け制度のある企業に就職し従業員として経験を積んでから独立する方法があります。

のれん分けとは、独立開業する従業員に対して企業が屋号(のれん)の使用を許可する制度です。フランチャイズと違って本店からの管理をあまり受けないため経営の自由度が高く、ブランド力の高い屋号を使えることで事業展開をスムーズに進めやすいというメリットがあります。

このほかサラリーマン・主婦業などと並行して副業から開始し、ある程度収益の見込みが立ったところで独立する(開業届を出す)方法も一般的です。ただし活動開始後すぐに高収益を上げられる人は稀であり、既存の人脈やクラウドソーシングサイト・フリマサイトなどを活用して地道に実績を作っていく必要があります。

社会の課題を解決したい

社会起業家とは、ソーシャルビジネス(革新的な事業によって社会問題解決・改善を目指すビジネス)を手掛ける起業家です。広義には行政職員やNPO法人なども含まれ、自らの利益追求よりも社会問題の解決を重視するという点で一般企業と異なります。

ソーシャルビジネスを成功させるためには、継続的な事業活動によって社会的影響と収益を上げ続けることが重要です。そのためにはまず誰のために・何のために起業するかを明確にし、単なる利潤追求でなく強い動機と責任感をもってビジネスに取り組む姿勢が欠かせません。

新しい価値やサービスを作り出したい

ベンチャー・スタートアップとして成長したい場合は、ビジネスコンテストやピッチイベントへの参加もおすすめです。これらのイベントは、自らのスキルをブラッシュアップし人脈を広げるためのよい機会となります。

ビジネスコンテスト

個人・チームのビジネスプランを審査するビジネスコンテストは、学生団体・企業・官公庁などによって開催されます。コンテストに上位入賞すると協賛金・賞金を獲得できるため、起業資金確保を目的として参加する人も少なくありません。

また、ビジネスコンテストは将来のビジネスパートナーとなりうる観覧者や協賛企業へのアピールチャンスでもあります。選考過程でメンター(起業経験者など)からフィードバックを得て、今後の改善・参考に役立てることも可能です。

ピッチイベント

ピッチイベントは、ベンチャーやスタートアップが観覧者に向けてピッチ(少人数の相手に向けた短時間のプレゼンテーション)を行うイベントです。

大企業関係者・投資家・メディアなどに向けて自社サービスをアピールすることで、宣伝・広告やビジネスパートナー発見のきっかけが生まれます。さらに、一部のイベントでは入賞者に賞金・賞品が贈られます。

収入を増やしたい

収入アップは、企業形態に関係なく多くの人が共通して持っている目標です。会社勤めという枠にとらわれないで収入を増やしたい人や、自分のスキル・特技を自由に活かしてビジネスチャンスをつかみたい人は、起業を検討してみましょう。

あくまでも収入アップを第一目的とする場合は、本業ではなく副業としての起業や株式・不動産投資などによる資産運用もおすすめです。仮に副業や投資がうまくいかなくても、本業を続けることで経済的リスクを軽減できるでしょう。

 

2ベンチマークする起業家や企業・店舗を定める

自分がやりたいと思うビジネススタイルのほとんどは、何らかの前例があるはずです。起業を志したら、まず自分がこうなりたいと思える企業・店舗や先輩起業家を探してベンチマークしてみましょう。

ベンチマークしたい相手が見つからない場合は、まずSNSやビジネスイベントなどを活用して人脈を広げるとよいでしょう。

ベンチマークとは

ベンチマークはもともと「指標」「基準」などを指す測量用語であり、広義には「何かを評価する際の基準」を意味します。

経営・マーケティング分野においては、他社を参考にして自社の経営戦略を分析・改善すること(または参考にした他社の経営戦略そのもの)をベンチマークと呼びます。自社と業種・経営規模が似ており、かつ優れた結果を上げている企業の経営戦略をベンチマークとするのが一般的です。

ビジネスモデルの解析

ベンチマークを行う際は、まずそのビジネスモデルの仕組みをきちんと理解する必要があります。

優良な他社のビジネスモデルを分析することで、自社が抱える問題点やこれまで思いつかなかった新しいアイデア・視点を発見しやすくなります。ビジネスモデルを分析するための知識が不足していると感じたら、ビジネス書や起業家向けセミナーなどを活用して勉強しましょう。

 

3逆算で大まかなスケジュールを立てる

ベンチマークを通じて自らのビジネスモデル(ありたい姿・あるべき姿)がある程度固まったら、起業までの大まかなスケジュールを立ててみましょう。新しい計画・アイデアを実践しようとする場合は、近年注目されているビジネス思考法「バックキャスティング」が役立ちます。

バックキャスティングとは

バックキャスティングは、未来のある時点に定めた目標から現在に向かって計画を立てていく思考法です。アイデアありきで計画を立てるため、現状にとらわれないで新しいプロジェクトを立てたいときなどに適しています。

起業に向けてバックキャスティングを行う際は、まず具体的な数字を用いて目標を定めます。(例:3年後に年収400万円を達成する)この最終目標から逆算して、さまざまな視点から今後1年の計画を立ててみましょう。

・起業形態(法人か個人か、法人形態はどうするか、従業員を雇うか否かなど)
・退職までのスケジュール(いつ退職するか、退職までに何をすべきか など)
・資金調達・運用(起業用資金、各種経費、独立後収入が安定するまでの生活資金など)
・集客・営業・宣伝(事業用Webサイト・販促品、SNS・新聞広告などの活用、ビジネスイベント参加など)
・情報収集(競合調査、業界の動向など)
・各種手続き(法務関係、許認可など)
・ビジネスとプライベート(育児・介護など)の両立方法

 

4創業塾を受講する

須賀川商工会議所は、須賀川市で独立開業を志す人や独立開業後間もない人を対象に創業塾(無料)を開催しています。創業塾では創業に必要な知識を総合的に学ぶことができ、学生・主婦(主夫)や事業後継者も受講可能です。

2020年度のカリキュラムは「創業の基礎知識」「ビジネスプラン策定」などの5分野となっており、Webセミナー受講後は経営指導員との個別面談を経て修了となります。修了者は市が定める特定創業支援事業受講者として認められ、創業に関する補助・助成をよい条件で受けることが可能です。

起業家向けセミナーは、多くの自治体で実施されています。須賀川市外の人は、お住まいの自治体の情報をご確認ください。

 

起業に向けて着実に行動を起こすことで、成功への道が拓ける

この記事では、起業に向けた行動として「目的の明確化」「ベンチマーク」「起業までのスケジューリング」「創業塾の受講」の4つを解説しています。

なんとなく「起業したいな」と考えるだけの状態から一歩踏み出すためには、ベンチマークやバックキャスティングなどを通じて自らのビジネスイメージをはっきりさせていくことが重要です。やみくもに動くのではなくしっかり計画を立ててから行動を起こすことが、起業成功への近道と言えるでしょう。

【参考】
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf

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