創業に関する基礎知識

学生起業 地域を変える新たな選択肢

わたしたちが日常的に使っているモノやサービスのなかには、学生起業家によって生み出されたものが少なくありません。

近年、「特定の組織に属することなく自由に夢を叶えたい」「自らのアイデアや研究を活かして社会・地域貢献したい」などの理由で学生起業を目指す人が増えています。学生企業は決して簡単なことではありませんが、社会人起業家にはないメリットも豊富です。

この記事では学生起業の概要や国内外の事例、そして学生起業のメリット・デメリットについて解説します。

学生起業とは

学生起業とは、大学生や高校生・中学生が自らのアイデアや研究を活かして起業することです。現在はさまざまな分野で学生起業家が活動していますが、若者向けサービス関連分野や起業コストがそれほど高くないIT・ソフトウェア分野などで特に多く見られます。

近年学生起業数は増えつつありますが、価値観の多様化により卒業後の進学・就職が当たり前ではなくなったことやベンチャー投資家が増えたことなどがおもな要因です。欧米諸国と比べて日本の学生起業者数はまだ少ないものの、各自治体や教育機関で学生起業の支援制度が整備されています。

この記事ではおもに学生が起こす法人企業について言及していますが、個人事業主として起業する方法もあります。

 

大学発ベンチャーとは

大学発ベンチャーは、大学の学生・教員・研究者などが開発した技術を活用するベンチャー企業のことです。経済産業省では、以下にひとつでも当てはまる企業を大学発ベンチャーと定義しています。

・研究成果ベンチャー
⼤学で達成された研究成果にもとづく特許・技術・ビジネス⼿法の事業化を目的とするベンチャー。大学発ベンチャーの過半数を占める。

・共同研究ベンチャー
創業者の持つ技術・ノウハウを事業化するため、設⽴5年以内に⼤学と共同研究などを⾏ったベンチャー

・技術移転ベンチャー
既存事業を維持・発展させるため、設⽴5年以内に⼤学から技術移転などを受けたベンチャー

・学生ベンチャー
⼤学と深い関連のある学⽣ベンチャー。研究成果ベンチャーに次いで多い。

・関連ベンチャー
そのほか、⼤学と深い関連のあるベンチャー(例:大学から出資を受けている)

経済産業省の発表によると、2019年度調査で存在が確認された大学発ベンチャー企業数は2,566社でした。この数値は前年度より288社多く、過去最大の伸びを記録しています。

 

会津大学は日本一のベンチャー起業実績

2014年、会津大学は学生1,000人当たりの大学発ベンチャー数ランキングで全国1位(1,000人当たり17.82人)となりました。

会津大学は学生の企業家精神育成に力を入れており、ベンチャー企業などから招いた講師によるベンチャー基本コースやPBL(課題解決型学習)にも積極的に取り組んでいます。大学から「会津大学発ベンチャー」の称号を受けた者は、ベンチャー支援関連情報の提供や学内外における企業PR支援などのサポートを受けることが可能です。

2011年度には、会津若松市内に本社を置く会津大学発ベンチャーの売上額が14億2,000万円にのぼりました。今後は大学発ベンチャーが重要な地場産業となること、そして国内外を舞台として広く活躍することが期待されています。

 

学生起業の事例

ここでは、国内外における学生起業の事例について解説します。

国内の学生起業事例としては、ソフトバンクグループ株式会社や有限会社オン・ザ・エッヂ(元・ライブドア社の前身)などが有名です。これらの例のように立ち上げた企業を成長させ続けるだけでなく、起業を通過点として早い段階での事業売却を目指す起業家も少なくありません。

 

Facebook, Inc.

創業年…2004年
創業者…マーク・ザッカーバーグ氏、エドゥアルド・ザベリン氏ほか

世界最大級のSNS・Facebookのはじまりは、2004年当時ハーバード大学の学生だったザッカーバーグ氏(当時20歳)らが開発した交流サイト「The Facebook」です。当初は学内限定でしたが徐々に対象ユーザーが増え、現在は13歳以上(※)でメールアドレスがあれば誰でも利用可能となっています。

Facebook, Inc.は広告収入や企業買収などによって収益を伸ばしており、2019年の収益額は707億ドル(約7.7兆円)にのぼりました。2020年現在、ザッカーバーグ氏は同社の会長兼CEOとして活躍しています。

※地域によっては年齢制限が引き上げられる場合あり

 

株式会社Candle

創業年…2014年
創業者…金靖征氏ほか
事業売却年…2016年(クルーズ株式会社へ12.5億円で売却)

金氏が東京大学在学中(当時20歳)に立ち上げた株式会社Candleは、女性向けの美容系メディアやヘアメイク関連の動画サイトなどを運営していました。

Candle社は起業後順調に収益を伸ばしており、上場できる見込みも十分にありました。しかし、「大規模な企業と一緒に大きな挑戦をすることで社会にインパクトを与えたい」という理由で売却を決定します。

この売却をきっかけに若手事業家として注目された金氏は、2021年現在メディア事業展開や投資活動などを行っています。また、事業売却前後に活躍していたメンバーの多くは現在起業家やCOO(企業の最高執行責任者)として活躍しています。

 

学生起業のメリット

学生起業の最大のメリットは、社会人よりも起業リスクが少ないことです。日本では家族を扶養している学生の数は非常に少なく、学生の収入が一家の生活に直結する心配はそれほど大きくありません。

また万が一起業に失敗しても若さを活かして方向転換しやすく、事業活動を通じて得た経験や人脈はその後の就職活動に役立ちます。近年は副業を認める企業が増えているため、企業に所属しながら副業として事業を進めることもひとつの方法です。

さらに社会人と比べて時間に余裕があり起業仲間を集めやすいことや、経験の少なさゆえに損得に囚われすぎず行動できることも学生企業の強みと言えます。学歴・偏差値と起業の成功確率に相関性はないため、大学の偏差値や成績がよくないからといって起業を諦める必要はありません。

学生や若い人が起業しようとするチャレンジ精神は、多くの大人にとって好ましく見えます。近年は学生・若手起業家をターゲットとした投資家やクラウドファンディングも増えているため、周囲の大人から協力を得やすいでしょう。

大学発ベンチャーの場合、会津大学の例のように大学から支援を受けながら事業を進めることもできます。大学から受けられるおもな支援内容は、次の通りです。

・大学施設・設備の利用
・ベンチャー企業の公認
・インキュベーション施設への優先的入居
・特許戦略や企業・経営に関するアドバイス
・研究開発人材の紹介 ほか

 

学生起業のデメリット

たとえアルバイトやインターンの経験が豊富でも、学生の社会経験は社会人には及びません。そのため、初めて経験するスタッフのマネジメントや企業の資金繰りなどに戸惑うことがあります。学生は民間金融機関からの融資を受けにくいため、VC(ベンチャーキャピタル)や自治体の学生向け融資制度を活用するとよいでしょう。

ビジネスパートナーのふりをして学生起業家に近づく悪い大人にも、注意が必要です。自社株を買い占めて企業を乗っ取ろうとする人や「簡単に稼げる」などと謳って高額な情報商材などを売りつけようとする人には、十分気をつけましょう。

学生が起業すると、企業活動と学業を両立することになります。企業活動に心血を注ぎすぎて卒業や進級に失敗しては本末転倒なため、うまく時間配分することが重要です。事業に専念するため休学・中退する人もいますが、安易に休学・中退を選ぶことはおすすめしません。

また。のんびりアルバイトしたり遊んだりしているほかの学生を見てつい気が緩んでしまうこともあります。学生起業家同士のコミュニティに参加して積極的に交流することで、起業家としてのモチベーションを保ちつつ同世代との交流を楽しめるでしょう。

 

学生起業は若者流出に悩む地域の新たな解決策

現在は全国的に少子高齢化が進んでおり、さらに地方では若者世代の流出が重要な課題とされています。人口減少と地域経済衰退を食い止めるべく、地元にとどまって起業する若者やUターン・Iターン起業を目指す人を積極的に支援している自治体も少なくありません。

さらにIT技術が大きく進歩したことによって、地方での起業を阻むハードルは下がっています。学生起業は、学生本人のキャリア形成だけでなく地方創生の大きなチャンスとなりうるでしょう。

 

【参考】
経済産業省
令和元年度大学発ベンチャー 実態等調査 結果概要
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200515003/20200515003-2.pdf

会津大学
学生数に対する大学発ベンチャー数で会津大が日本一
https://www.u-aizu.ac.jp/information/ventureno1.html
公立大学法人会津大学の研究成果等を活用したベンチャーへの称号の授与について
http://www.ubic-u-aizu.jp/images/stories/pdf/https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200515003/20200515003-2.pdf.pdf

会津若松市
「スマートシティ会津若松」及び「地方創生」関連事業の取組と展望について
https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2015071600019/files/H29_talk_01.pdf

 

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