これから個人でお店を出したり、フリーランスとして事業を始めようとしている方へ。
開業準備と並行して、意外と見落としがちなのが「老後の備え」や「万が一への保障」です。
会社員であれば退職金や企業年金などがありますが、個人事業主になるとそういった制度は基本的にありません。
「じゃあ、自分でなんとかしなきゃ…」と考える方にぴったりなのが、「小規模企業共済制度」です。
この制度は、簡単に言うと「個人事業主のための退職金制度」。
この記事では、そんな小規模企業共済制度について、初心者の方でも分かるようにやさしく丁寧に解説していきます。
小規模企業共済制度とは?
小規模企業共済制度は、個人事業主や小規模な会社の経営者が、将来のために積み立てができる共済制度です。
正式には、「小規模企業共済法」に基づいて運営されている公的な制度で、中小機構(中小企業基盤整備機構)が取り扱っています。
▽簡単に言うと?
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個人事業主の退職金のようなもの
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毎月一定額の掛金を積み立てていき、事業を辞めたときに受け取ることができる
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掛金は全額が所得控除の対象になり、節税効果もある
会社員が加入する厚生年金や企業年金のように、自営業者でも“退職金的な準備”ができる貴重な制度なんです。
なぜ今、小規模企業共済が注目されているのか
個人でビジネスを始める方が増えている今、「老後の不安」や「万が一のリスク」に備える必要性が高まっています。
▽注目される3つの理由
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退職金の代わりになる
→ 会社員のような退職金がない個人事業主にとって、将来の生活資金として使える -
節税効果が大きい
→ 掛金は「所得控除」の対象。税金の負担を減らせるのは大きなメリット -
資金繰りに困ったときも助けてくれる
→ 解約せずに「貸付制度」を利用できるため、いざというときに資金を借りられる
小規模企業共済のメリット・デメリット
◯メリット
項目 | 内容 |
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節税になる | 掛金が全額所得控除の対象 |
老後の備えになる | 廃業・引退時にまとまった金額を受け取れる |
融資機能がある | 掛金を担保にお金を借りることができる |
加入がかんたん | 書類提出と口座引き落としでOK |
自分で掛金を変更できる | 月1,000円〜7万円まで自由に設定可能 |
△デメリット
項目 | 内容 |
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短期間で解約すると元本割れする可能性あり | 加入から20年未満で任意解約すると、戻ってくるお金が少なくなることがあります |
掛金の減額には条件がある | 一度設定した掛金は、簡単には減額できません(増額は可能) |
加入には事業実態の証明が必要 | 開業届や青色申告の届け出が必要になることも |
加入条件と手続きの流れ
▽誰が加入できるの?
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個人事業主(フリーランスも含む)
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小規模企業の経営者(常時従業員20人以下の会社など)
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配偶者や後継者など、一定の条件を満たす役員なども対象になる場合あり
▽加入に必要なもの
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本人確認書類(免許証など)
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開業届や確定申告書の控えなど(事業をしている証明)
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銀行口座(掛金の引き落とし用)
▽加入の流れ
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申込書を入手(中小機構のウェブサイトまたは金融機関などで)
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必要書類をそろえる
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金融機関などを通じて申し込む
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掛金の引き落とし開始(通常、翌月から)
掛金と受け取りの仕組み
▽掛金について
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月1,000円から7万円まで、500円単位で設定可能
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途中で増額・減額もできます(ただし減額には制限あり)
▽受け取りのタイミング
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廃業したとき
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会社を譲渡したとき
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老齢給付(65歳以降、20年以上加入していれば受け取り可)
▽受け取りの方法
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一括(まとめて)受け取る
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分割(年金形式)で受け取る
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一部を一括、残りを分割というハイブリッド方式も可能
※掛金は全額「所得控除」されるため、節税と将来の備えを同時に叶えられます。
実際にどれくらいお得なの?シミュレーション例
▽たとえば…
30歳で個人事業を始め、
月額2万円を25年間積み立てた場合(総額600万円)
→ 退職時に受け取れる金額(共済金A)は
約730万円〜780万円程度になることも(利息分を含む)
さらに、毎年24万円の掛金が所得控除されるので、
税率によっては年間4万〜6万円程度の節税効果も期待できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 途中でやめたらどうなりますか?
→ 任意解約は可能ですが、加入期間が20年未満だと元本割れする可能性があります。
Q. 収入が少ない時期は掛金を止められますか?
→ 原則は継続が必要ですが、一定の条件で「掛金の減額」や「納付の一時停止」も相談できます。
Q. 加入するのに審査はありますか?
→ 特別な審査はなく、書類がそろっていれば原則誰でも加入可能です。
Q. 会社員を辞めてフリーランスになったら入れる?
→ はい。開業届を出して事業を始めていれば、加入できます。
まとめ|将来の安心は「今」から始めよう
個人で事業を始めるということは、自由を手に入れる一方で「すべてを自分で守る」という責任も生まれます。
「将来の自分」「もしものときの自分」を守るために、小規模企業共済はとても心強いパートナーになります。
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退職金代わりに
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節税しながら資産形成に
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いざというときの資金繰り対策に
まずは少額から始めて、少しずつ将来に備えていくことが大切です。
「事業を始める=今を変える」ことですが、
「共済に入る=未来を守る」ことでもあります。
ぜひこの機会に、小規模企業共済制度の活用を検討してみてください。
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