これから創業や開店を考えている方は前途揚々、成功するイメージを持って、計画の策定や、開業準備を進めていることと思います。
一般的には計画といえば事業計画書などを使って、1年〜3年の売上や経費のイメージを策定されている場合が多いのではないでしょうか?
しかし実際に事業を開始したり、一定期間営むことにより、数字だけでは考えきれない課題が表面化してくることがあります。
この記事では小規模事業白書を基に、多くの小規模事業者が創業後に感じている課題を記載します。
事前に今後対峙するであろう課題を知り、事前に対策案を考えることでスピードを落とすことなく事業を成長させていきましょう。
小規模事業者が抱える課題
中小企業庁が2020年に小規模事業者に行った経営課題に関する調査の結果から上位を抜粋した図です。
人材
最初は自身を含めた少人数で事業をスタートし、軌道に乗ってきた場合にスタッフの拡充を考えるパターンが多いでしょう。しかし、現状は企業側の売り手市場となっています。売り手市場とは、売り手(供給側)である企業の求人数が多く、買い手である就職候補者が少ない状態を表す言葉です。
つまり、求人をかけても応募が来る確率が低い状態です。
さらに、求人をかけ人員を拡充したいのは小規模事業者だけでなく、大手企業や大手中小企業も同じです。小規模事業所と大手の企業の求人条件を比較した場合、待遇面での比較や、家族の理解などはどちらが得やすいでしょうか。安定を考えた場合、多くの人は大手を選ぶのではないでしょうか。
そのために小規模事業所の人材採用はとても困難になります。スタッフを拡充したいタイミングで採用できることは、まず有り得ないくらいのスタンスで考え、事前に採用活動を行うことや、事業の魅力を発信して求人者側から連絡をもらえるようにするなどの工夫が必要です。図にあるように、70%の事業所が課題に感じている項目だということを理解し、対策を立てましょう。
営業
事業を成長させる上で必要なのが新規顧客の獲得です。売り上げの上げる公式は「客数×客単価」であり、客数が増えなければ、単価を上げ続けなければ売り上げは上がらないので、客数の増加が必須でしょう。
しかし、この項目も多くの事業者が課題を抱えています。いいものを作り提供していれば、勝手にお客様が来店し購入してくれるということはありません。営業活動や広告宣伝活動を行う必要があります。主な広告宣伝活動には以下のような施策が考えられます。
・TVCM
・折り込み広告
・web広告
・SNS広告
・メディア広告(雑誌やフリーペーパーなど)
クチコミやSNSでの集客がある場合もありますが、これは偶発的な要素が非常に高いといえるでしょう。偶発的な集客を期待するのではなく、集客するための予算を毎月準備し、計画的に営業活動を行うことが重要です。その際に、各集客施策ごとにコンバージョン単価(1集客を実現するためにかかった金額)を解析し把握することで自社に適した集客施策が見えてくるでしょう。
マーケティングの知識は事業を行う上で重要な要素です。
自身が苦手だと感じるようであれば専門家に依頼するなどの対策も含めて事業計画を考えるといいでしょう。
事業開始前に対策を立てましょう
事業開始前は事業を開始することが目的になってしまうことが往々としてあります。
しかし、事業とは「継続的に事業活動を行い利益を上げること」であるように、事業開始後に意味があります。会計士や税理士などに丸投げした事業計画の策定ではなく、自身で中長期でどのように成長していくかをロードマップで考え、各過程でどのような課題が発生しそうか、発生しうる課題の内容を想定し、事前に対策を立てることが事業の成長には不可欠です。
事業がスタートすると日々の業務に追われ、なかなか俯瞰して考える時間を取ることが難しくなることもあると思いますので、事前に傾向や対策のベースを作っておくことも必要でしょう。