居抜き物件とは? 出店費用を抑える店舗選び

飲食店の出店などを考える際に、居抜き物件というワードを聞くことがあります。なんとなくはイメージできるけど実情はわからない方も多いはず。この記事では居抜き物件について解説いたします。

居抜き物件とは

居抜きとは、もともと存在した店舗の什器などがそのまま残った状態で不動産物件を他の事業者に売却したり、貸したりすることです。 主として同業種の閉店した物件に、同業種の別な事業主が入居し事業を開始することを指します。

例えばラーメン店が撤退した物件に外装、内装、テーブルなどをそのまま利用し、別なラーメン店が入居し営業をしている形です。
店名と調理を担当しているスタッフ、提供されている商品が入れ変わった形です。

居抜き物件のメリット

出店費用の軽減

居抜き物件を活用するメリットの中でも大きい要素に出店費用の軽減があります。
例えば、飲食店を出店する場合、通常では外装・内装工事、冷蔵庫・シンク・調理台などの什器、テーブル・椅子などの備品など様々な投資が必要になります。特に飲食店の場合、ダクトや給排水の工事に大きな投資が必要になります。居抜きの場合、不動産所有者との入居契約の条件にもよりますが、敷金、保証金、家賃と看板の付け替え程度で開業することができ、平均に比べ600万〜700万円ほど軽減できることもあるでしょう。(日本政策金融公庫の2020年度の調査によると飲食店の開業資金の平均額は約990万円)

スピーディーな出店

飲食店を開業する場合、平均2ヶ月の工事期間を要しますが、居抜き物件の場合、自己資金での開業の場合、納入業者との調整、保健所の立入検査など最低限の調整をすることで早ければ2週間程度で開業することも可能です。

資金調達

日本政策金融公庫飲食店の開業時の資金準備額の平均は1194万円になっています。金融公庫や金融機関から融資を受けて開業する場合も多いでしょう。その場合、借入、融資の金額が大きいほど審査は厳しくなります。初期の設備投資の金額が少なくなることで借入額も少なくなり、資金準備の総額も軽減することができます。

居抜き物件の程度

一言で居抜き物件といっても、その程度には様々なパターンがあります。
飲食店の場合、内外装、什器や器具備品全てが残っている場合、内外装は残っている場合、ダクトなどの空調設備、給排水設備が残っている場合などです。
その程度によって自身で手配、準備するものが変わってきますが、いずれにしても新規で準備することに比べて投資費用は抑えることができます。

居抜き物件の探し方

居抜き物件を探すには出店を考える地域の不動産事業者へ条件を伝え、該当する物件が出た場合に連絡をもらう方法や自分でアンテナを張って探す方法などがあります。
すでに現状回復(退店時に借りる前の状態に戻して返すこと)やスケルトン(余分な内外装を取り除き、躯体のベースのみになっている場合)になっている場合でも、物件所収者や不動産業者によることで、給排水の工事履歴などを確認することもできるので、そういった視点で物件を探すといいでしょう。

安易に決めるのは注意

居抜き物件が見つかってラッキーといってすぐに決めるのは注意が必要です。
地域によっては、同じ場所でお店が長続きしないで、ころころと出店者が変わる物件がある場合があります。駐車場が狭い、入りにくい、動線が悪くオペレーションに問題がおきる、居心地が悪いなど何かしらの問題がある可能性もありますので、自分だけは大丈夫と思わずに、しっかりと調査、吟味するようにしましょう。

出店準備は計画的に

希望の条件に見合う物件に出会えることは非常に稀で、多くの事業者が何かしらの点で妥協して物件を決定しています。急いで物件を探すことになると、妥協点が多くなり、その後の運営に負担がかかる場合がありますので、余裕を持って計画的に準備しましょう。