就業規則とは? 従業員を雇えば必ず必要?

店舗の出店や事業を開始した場合、従業員を雇用することもあります。その場合、店舗・会社での働き方や休日・給与などルールが無いと従業員は何をするべきか、どのような待遇を得られるか不明になり、それらの不安から就業したいと思わなかったり、途中で退職などに繋がってしまうリスクがあります。
事業主、従業員が相互にルールや条件を理解・共有するための手法として就業規則があります。
就業規則とはどういったものか、作成は必須なのかなど、就業規則について解説します。

就業規則とは

雇用主と労働者の間の雇用に関するルールを定めた規則を「就業規則」といいます。
就業規則の内容は基本的に会社側が決め、文章に起こします。企業、店舗によって内容が異なることも特徴です。

就業規則とは、賃金や労働時間、解雇や懲戒処分の事由、服務規律の内容など、就業にあたり従業員が守るべき規律を定めるものです。合理的な労働条件を定めた就業規則が従業員に周知されている場合、その就業規則は従業員の個別の同意がなくても、雇用契約の内容になります(労働契約法第7条)

労働契約とは

就業規則と同様に各企業のルールで作成するものに「労働契約」があります。
就業規則は企業や店舗のルールとして従業員共通のものとして定めるのに対し、労働契約は企業や店舗と従業員個人が結ぶ契約で、その内容は個人ごとに異なっていて、主に給与や働く時間などを記載します。

就業規則は必須?

「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」(労働基準法第89条 )

上記のように10人以上のスタッフを雇用する場合には就業規則を作成し監督官庁に提出する必要があります。違反すると30万円以下の罰金が科されます。

開業後すぐに10人以上雇用することは稀かと思いますので、就業規則はなくてもいいかと考えるかと思いますが、10人以下の雇用でも就業規則を作ることを推奨します。

就業規則が無い場合のデメリット

就業規則が無い場合に起こりうる問題の事例を記載します。

・懲戒(解職)に関する規定の不備により、解雇後に不当解雇などとして、労働基準監督署への駆け込みや、裁判問題に発展する
・秘密保持の規定の不備により、商品開発などの情報が競合に流出
・残業に関する規定の不備により、多額の未払い残業の請求
・退職後規定の不備により、顧客の流出

ここにあげた事例以外にも就業規則を作成していないことで起こりうる問題は多数あります。
雇用人数が少ないからといえ、就業のルールを持たないことの方がデメリットが多いと考えられます。雇用主と従業員がお互いに信頼の上で仕事ができるように就業規則の作成を検討しましょう。

就業規則の内容

法令に沿って就業規則を作成する場合、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、ルールを定める場合には記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。
また、任意において記載する事項があります。

【絶対的必要記載事項】
① 労働時間に関する事項始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
② 賃金に関する事項賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇を含む)
【相対的必要記載事項】
① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金等及び最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品その他の負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
​⑦ 標章及び制裁の種類及び程度に関する事項
⑧ その他事業場の労働者の全てに適用される事項
【任意的記載事項】
法令で定めた記載事項ではなく、各企業で任意に定めることができます。

事業特有の規則や秘密保持などは任意的記載事項に記載します。

ルールの基に安心した職場環境を

経営者以外の人を採用する場合、それはチームであり、組織となりますので運営するにはルールが必要になります。
口約束では言った言わないの問題が発生し、信頼関係が崩れる要因になる場合もあります。そういったことを避けるためにもルールを文章化、可視化する就業規則は重要です。
相互が納得できるルール・就業規則を作成し、お互いが安心して働ける環境をつくりましょう。

 

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