副業から本格的に起業を目指す方の中でも、比較的少ない資本で始められるビジネスの一つとして注目されているのがキッチンカー(移動販売車)です。実店舗を構える場合と比べて、開業コストを抑えながら自分のオリジナル料理やスイーツを提供できる点など、魅力はたくさんあります。しかし、いざ始めようとすると「何から準備すればいいの?」「どれくらいのキッチンカー予算が必要なの?」「税務申告はどうすればいいの?」などの疑問がわいてくることでしょう。
本記事では、30代前後の会社員で副業から起業を目指すビジネス初心者に向けて、「キッチンカーとは何か」という基本から実店舗との違い、開業費用、そして申告方法やよくある失敗例・成功のポイントまでを段階的に解説します。全体で約4,000文字を目安にまとめていますので、じっくり読んでみてください。読了後には、すぐに行動に移せるようなチェックリストもご用意しています。ぜひ最後までご覧ください。
キッチンカーとは
キッチンカーの定義
キッチンカー(移動販売車)とは、車両の荷台や車内にキッチン設備を備え付け、移動しながら飲食物を販売するビジネス形態のことを指します。公園やオフィス街、イベント会場など、人が集まる場所に出向いて料理を提供できる点が大きな特徴です。
メリット
- 初期費用を抑えやすい
実店舗と比べて、店舗の内装費や家賃、固定設備などのコストを大幅に抑えられます。 - 立地を自由に選べる
イベントや催事の開催場所、にぎわうスポットなど、売れそうな場所を自ら探し、移動して販売できます。 - 集客力が高い
見た目のインパクトがあり、SNS映えするキッチンカーであれば、話題性を生みやすく、短期間で認知度を高められる可能性があります。
デメリット
- 営業許可・保健所の基準を満たす必要あり
キッチンカーとして営業するには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。車両の設備や衛生管理の基準などをクリアする必要があります。 - 天候に左右されやすい
屋外での販売が基本となるため、雨天や猛暑・極寒など、天候による集客ダウンや、場所確保の制限が生じる可能性があります。 - 移動コスト(ガソリン代など)
移動距離に応じて燃料費がかかります。日々の移動計画を立て、採算が合うかを考慮することが大切です。
実店舗との違い
1. 開業手続きと許可関係
- 実店舗の場合
店舗ごとに飲食店営業許可を取得し、内装や設備なども保健所が定める基準を満たす必要があります。物件の契約や、消防法・建築基準法に基づく確認なども必要です。 - キッチンカーの場合
主な許可は「移動販売」に関わる飲食店営業許可ですが、販売する食品の種類や加工の程度によっては別の許可が必要になる場合もあります。自治体によっては独自の基準や書類があることもあるため、開業前に必ず所轄の保健所や自治体に確認しましょう。
2. 初期コスト・固定費
- 実店舗の場合
物件取得費(敷金・礼金など)、内外装工事費、家具・設備費、さらに毎月の家賃や光熱費など、大きな資金が必要になります。 - キッチンカーの場合
キッチンカー本体や調理設備の購入・改装費が初期費用の中心です。店舗家賃が不要な代わりに、ガソリン代などの移動コストが発生します。イベント出店料がかかる場合もありますが、実店舗よりも経費の大部分を抑えられるケースが多いです。
3. 集客・営業スタイル
- 実店舗の場合
立地が売上に大きく影響します。集客は基本的に「待ちの姿勢」になりやすく、商圏の特性を踏まえたマーケティング施策が必要です。 - キッチンカーの場合
**待ちではなく“攻め”**の集客を行えます。人気の観光地、オフィス街、イベント会場など、自ら出店場所を選べる点が強みです。ただし、駐車スペースや出店許可などのハードルもあります。
キッチンカーの費用感
キッチンカー開業にあたってどれくらいのキッチンカー予算が必要なのでしょうか。ここでは大まかな費用感を解説します。
1. キッチンカー本体の購入・改装費
- 中古車両を購入: 100万円~300万円ほどが相場
- 状態や車種によって大きく変わります。既にキッチン設備が付いている車両なら、改装費を抑えられる場合もあります。
- 新車の改装: 300万円~500万円以上
- 新車ベースでオリジナル改装を行うと、それなりの費用がかかります。将来的に長く使う予定があるなら新車を選ぶメリットも大きいですが、初期投資が増える点は注意が必要です。
2. 調理機器・備品
- コンロ、冷蔵庫、シンク、給排水設備など
- 車内に調理設備を備え付けるための改装費用が必要です。簡易的な設備であれば数十万円程度でも可能ですが、飲食物の種類によっては大掛かりな設備投資が求められます。
- 食器、調理器具、消耗品
- 使い捨て容器やカトラリー類を継続的に購入するコストも見込んでおきましょう。
3. 許可取得・保険関連
- 営業許可申請費: 数千円~1万円程度(自治体により異なる)
- 飲食店営業許可や移動販売のための確認申請など、所轄の保健所や自治体に申請する際の手数料です。
- 食品衛生責任者の資格取得費
- 1日講習で取得できることが多く、数千円程度の受講料で済みます。
- 自動車保険・店舗総合保険など
- キッチンカーは移動中の事故リスクや、販売中の賠償リスクなどが発生します。適切な補償が受けられる保険に加入しましょう。
4. その他の費用
- イベント出店料
- 出店先によっては1回あたり数千円~数万円の出店料が必要になる場合があります。
- ガソリン代・メンテナンス費
- 遠方への出店が多い場合は、移動コストが意外とバカになりません。定期的な車両メンテナンス費用も考慮しておきましょう。
- マーケティング費
- SNS広告、チラシ、看板、POPなどの制作費もかかることがあります。
申告書の作成方法
キッチンカーでの売上が一定額を超えると、個人事業主として確定申告が必要になります。ここでは、初めての方でも取り組みやすい流れを紹介します。
1. 開業届の提出
- 個人事業の開業届を税務署に提出することで、正式に個人事業主として活動できます。事業開始後1か月以内が基本とされていますが、遅れても罰則はありません。
- 青色申告承認申請書も合わせて提出すると、青色申告による最大65万円の控除などを受けられる可能性があるため、検討をおすすめします。
2. 帳簿付け・レシート管理
- 会計ソフトを活用
- 「弥生会計」「freee」「マネーフォワード クラウド」などを使えば、日々の売上や経費を簡単に記録できます。
- レシート・領収書の保管
- 材料費、ガソリン代など、事業に関わる支出のレシートは必ず保管し、経費として計上しましょう。複数のジャンルにわたる出店をされる場合は、どのイベントでどれくらい仕入れたかまでメモしておくと申告時に役立ちます。
3. 確定申告書の作成・提出
- 白色申告と青色申告
- 青色申告は帳簿付けなどにやや手間がかかるものの、節税効果が高いです。副業であっても、事業所得が安定しそうな場合は最初から青色申告にチャレンジしても良いでしょう。
- e-Taxを使う方法
- 国税庁のe-Tax(電子申告)を利用すると、インターネット経由で申告書を提出できます。還付金がスピーディに振り込まれたり、24時間いつでも作業ができたりとメリットがあります。
- 郵送または税務署持参
- 直接税務署に持っていけば、不明点をその場で確認しやすいです。コロナ禍以降は混雑緩和のために郵送や電子申告が推奨される傾向もあります。
よくある失敗例と成功のポイント
失敗例1:出店場所の選定を誤る
- 原因: 人が集まらない場所や、キッチンカー需要の少ないエリアに出店してしまい、売上が伸びない。
- 対策: イベント情報や出店可能なスポットを事前にリサーチし、客層や売れ筋商品などを見極める。SNSや同業コミュニティでの情報共有も有効です。
失敗例2:メニューの価格設定ミス
- 原因: 原価や移動コストを十分に加味せずに低価格で販売し、利益が出にくい体質になってしまう。
- 対策: 原価、イベント出店料、ガソリン代などを考慮した上で価格を設定。試算表を作り、最低限必要な売上ラインを明確にする。
失敗例3:衛生面・食品管理の不備
- 原因: 冷蔵管理や保温設備の不足、調理器具の消毒不備などでクレームや行政指導を受ける可能性がある。
- 対策: 保健所の基準に従って十分な冷蔵・保温対策を行い、いつでも清潔に保てる環境を整える。食品衛生責任者の知識を活用し、チェックリストを用いて管理する。
失敗例4:売上・経費を後回しにしてしまい、確定申告時期に大混乱
- 原因: スケジュール管理や帳簿付けの習慣がなく、書類がバラバラに散乱して締切間際に慌てる。
- 対策: 会計ソフトやエクセルで日々の売上・経費を管理するクセをつける。少なくとも月に1回はまとめて記帳・仕訳を行う。
成功のポイント
- こだわりのコンセプト・ビジュアル
キッチンカーは見た目のインパクトで集客力が大きく変わります。カラーリングや装飾、メニューデザインにオリジナリティを出すと「SNS映え」しやすくなり話題性も高まります。 - 移動先のニーズを捉える
イベントや地域の祭りなどでは、来場者の客層によって売れる商品の種類や価格帯が変わります。事前リサーチが鍵です。 - リピーターを作るサービス
ただ販売するだけでなく、SNSフォローやスタンプカードなど、再訪を促す施策を用意しておくと安定的な売上を見込めます。 - 定期的な収支管理とメニュー改善
人気商品・不人気商品のデータを取り、仕入れやメニュー構成を見直して利益率をアップさせていきましょう。
まとめ:チェックリスト&次のアクション
キッチンカーでの開業は、キッチンカー予算を抑えながら自分のアイデアを形にできる魅力的なビジネスです。ただし、出店場所の選定から衛生管理、確定申告など、実際の運営ではさまざまな課題が出てきます。しっかりと下調べと準備を行い、自分なりの強みを活かすことが成功の近道です。
チェックリスト
- 開業計画の整理
- キッチンカー事業でどんな料理やスイーツを売りたいかコンセプトを明確化
- 競合調査やターゲット顧客の設定
- 費用・資金計画
- キッチンカー本体の購入費用や改装費を試算
- 仕入れ、保険、燃料費、出店料などのランニングコストを想定
- 無理のない資金繰り(自己資金+融資等の検討)
- 許可・資格手続き
- 保健所への営業許可申請
- 食品衛生責任者の資格取得
- 帳簿付け・申告準備
- 開業届の提出(青色申告承認申請を含む)
- 会計ソフトやエクセルで日々の売上・経費を管理
- 毎月または定期的に仕訳処理を行う
- 販路・マーケティング戦略
- イベント主催者や商業施設への営業
- SNS(Instagram、Twitterなど)やWebサイトの活用
- 店舗ビジュアルやPOPの作成で注目度UP
行動を起こしましょう
- まずは試算表を作成
開業時にどのくらいの投資が必要か、毎月の売上目標と経費をリストアップして収益計画を立ててみましょう。 - 会計ソフトの無料体験や試用
「freee」「マネーフォワード クラウド」などの会計ソフトは無料期間があるものもあります。仕訳に慣れておくと、後々の確定申告がスムーズになります。 - 出店可能な場所・イベントをリサーチ
自治体や商工会議所のサイト、SNS、イベント情報サイトなどをチェックし、出店希望先に直接問い合わせてみるのも手です。 - 実際にキッチンカーを運営している人の話を聞く
キッチンカーイベントや交流会に足を運んで、先輩オーナーのリアルな体験談を聞くと、独自のノウハウやヒントが得られます。
キッチンカーは店舗を構えずに始められる分、自分の工夫や行動力がそのまま売上に直結しやすいビジネスといえます。副業からスタートして、軌道に乗ってから本業に切り替える人も多いため、リスクを抑えながら挑戦できるメリットも大きいです。ぜひ、今回の情報を参考に、事前準備と継続的な改善を行いながら、あなたならではのキッチンカービジネスを実現してみてください。
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